@viva100s

趣味ベースのログ。映画とか読書とか音楽とか。

海洋冒険家 白石康次郎「人生で大切なことは海の上で学んだ」を読んだ。

人生で大切なことは海の上で学んだ

人生で大切なことは海の上で学んだ

※昔書いた記事(2013年)を再投稿しています。

辛抱さんのヨット事故へのコメントが秀逸だったので、白石さんの著書を手にとってみました。
ブライドセーリング : 白石康次郎 世界一周SHIP'S LOG - 単独世界一周レース「5-OCEANS」にchallengeする海洋冒険家 -

ヨットレースというものがどんなものかすら、知りませんでした。

エンジン無しで世界一周する人がいるとか、世界的に様々なレースが行われているとか、正直まったく知りませんでした。
なので、白石康次郎という人もブログ記事を読むまでは知りませんでした。

最近はビジネス書っぽいものも多数出しているようです。
僕が手にとったのは「人生で大切なことは海の上で学んだ」という一冊です。

なんというか、あまり売れそうなタイトルではないですね。
タイトルだけ見ると自己啓発っぽくて、ちょっと怪しい感じもしますし、、、。

ただ、読んでみると面白い。
内容はいたってシンプル。
史上最年少でヨット単独無寄港世界一周を達成した著者の、冒険を通しての「気付き」がまとめられた一冊。

冒険を始めるまでの資金集めのことや、チャレンジに失敗した時にどう乗り越えたかなど、実体験を元にしたエピソードとその考察が読みやすくまとまってて興味深い。

トップを走る人は細部にまで気にかけている。
神は細部に宿る。まさにその通りだなと。

だが、同じくらい恐いのが、意外にも、毎日の小さなストレスなのである。たとえば、身につけているものが濡れたとしよう。濡れた衣類を身につけていて、気持ちがいいはずがない。こうしたことがモチベーションにも微妙に影響する。
こうした小さなストレスをバカにしないことも大事なのだ。「どんな場合も最善を尽くす」。これは、細部にまで貫徹してこそ、より輝く言葉なのである。

「人生で大切なことは海の上で学んだ(作者: 白石康次郎)」 P.85より引用

彼の言葉は、野性的だからか、自然と接しているからか、思考が人間的で根源的な気がする。
教育に関するくだりはなるほどと納得させられる。
彼の親父の教育方針やエピソードも面白い。
全体を通して、人間を観察する目が肥えているんだなって思える。

冒険家って自我が強くなきゃやってらんないし、周りに協力されるような人たらしでないと現実的にやっていけないし、なかなか難しい職業なんだね。
まあビジネス起業家とかも同じだ。こっちはミスっても死なないけど。

冒険って、男のロマンはあるよね。
お金とか関係なく、とにかく俺ヨットで世界一周したいの!っていう子供のような気持ち。
純粋でいいです。
嫁子供がいようとも、俺が行きたいんだから1年かけて旅に出るの! 行きたいんだから、しょーがないの! っていうジャイアニズム。
素敵です。

もちろん、口だけではなく、地味な努力を惜しまない堅実さがあるからこそ、ですが。
著書の最後にゲーテの言葉を引用するくらいだから、肝に銘じているんでしょう。

大切なことは、大志を抱き、
それを成し遂げる、技能と忍耐とを、持つことである。
その他は何れも、重要ではない

ゲーテ


自分は世界一周なんてできないけど、やろうとしている人たちを素直に応援したいですね。