※ネタバレ含みます
第二次世界大戦時のユダヤ人迫害を描いた作品です。
ヒトラーは登場しません。
登場人物が全員ドイツ語ではなく英語を話しており、違和感がありました。
主人公は、文学者であり教授の男。
彼が友人のユダヤ人を救いきれず、収容所で彼を見つけるまでのドラマです。
なにが正しくてなにが間違っているのかをわかっている人間が、自作の小説を軍部に利用され
周りに流され、保身に走り、なにもできずに大罪に荷担してしまう。
文学者がこうも無力なのかと悲しくなります。
知識だけがあってもしかたがない。
いくら真面目でも、こっそりフランス行きの切符を買うことすらできない臆病者にはなにもできないのです。
ほぼ無宗教である日本人からすると、彼らがどうしてユダヤ人をそこまで嫌悪し迫害するのか理解できません。あまりにも常軌を逸しています。
言論で戦わないといけないときがある。
しかし、言論を差別や迫害に使っては本末転倒ではないでしょうか。
最近のヘイトスピーチには、近いものがあるのかもしれません。
まともなドイツ人がたくさんいたのにも関わらず、ナチ党は大罪を犯したのです。
権力は暴走し、隠匿し、正当化します。
本来であれば市民が正当な判断と知見を持って、権力を制御しなければなりません。
ヒトラーを描かずに、市民を描くことで、ヒトラーの残虐さを描いた本作品は異色ではありますが、
見る価値があると思います。
5段階評価。
★★★
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