文章量について。
一冊の本を出すために必要な文字数は約10万字だとどこかで目にした。
10万字という量を書いたことが無いのでうまく想像できない。
原稿用紙でいうと400字詰めのものが250枚。1000時程度収まるA4用紙だと100枚くらいの計算になる。
原稿用紙を一枚書くのに要する時間を30分とすると、30✕250=7500分かかることになる。
125時間。毎日5時間ずつかいたとしても25日かかる。約1ヶ月だ。
こういった計算をしてみると、一冊の本を作るのに膨大な時間が投資されていることに気がつく。
書いたあとの校正や編集者から指摘を手直しすることを考えると、もっと時間がかかっているだろう。
僕たち一般の消費者は、ちょっと読んだだけで、つまらないと放り出してしまったり、
タイトルを見ただけで面白そうではないという理由で手を取らない。
市場主義社会なのだから当然のことだ。
自分が興味ないものを読む義務はないし、面白くない本を無理に読むことは、苦痛でしかない。
しかし、自分がいざ本を書こうとすると、そういった市場主義的な思考が中々できない。
自分の思い入れが強くなり、自分の文章を客観的に見ることができなくなる。
だから興味を引くタイトルを付けられないし、最後まで読ませる文章を書けない。
ここで僕が文章といっている概念、いわゆる文字/単語の連なりとしての「文章」ではなく、物語/ストーリとしての「文章」だ。
きれない単語を使い、正しい文法で書いた文章であっても、
中身の無い文章では誰も見向きをしてくれない。読んですらもらえないかもしれない。
たとえ間違った文法で書かれていたとしても、
読者の心に響き、印象に残る物語としての文章の方がずっと価値がある。
誰のために書くのか。自分のためではなく読者のためだ。
そんなことを考えながらこの文章を書いている。
この文量でだいたい800文字といったところである。